本年度の申請も未だあるようですので、補助金について、少し書いてみたいとおもいます。
本年度の補助金では、小規模事業者持続化補助金(一般型、低感染リスク型ビジネス枠)、ものづくり・商業・サービス生産性向上・促進補助金、事業再構築補助金など、様々な補助金がありますが、補助金の特徴と言えば審査がある、ということでしょう。
よく混同されやすい助成金は要件を満たせば基本的に支給されるのですが、補助金は申請内容の審査があり、このため必ずしも支給されるとは限らないという大きな違いがあります。
この審査の際に申請書に事業計画を記載するのですが、これが簡単ではないのです。特に普段、申請書の類を自ら記載することがない事業者の方にとっては、まったくもって簡単ではない、という代物です。
では、この補助金申請書の事業計画書をどう記載するのか、一番身近な、小規模事業者持続化補助金で述べてみましょう。
計画書の様式は、公募要領に示されているとおりで、
項目としては、
<経営計画>としては次の4項目
・企業概要
・顧客ニーズと市場の動向
・自社や自社の提供する商品・サービスの強み
・経営方針・目標と今後のプラン
<補助事業計画>としては次の4項目
・補助事業で行う事業名
・販路開拓等(生産性向上)の取組内容
・業務効率化(生産性向上)の取組内容(任意記入)
・補助事業の効果
これらの中で、記載内容を指示しているのは、補助事業の効果の部分に
*販路開拓等の取組や業務効率化の取組を通じて、どのように生産性向上につながるのを必ず説明してください、
と記載してあるだけなので、これだけでは、計画書に何を書けばいいのか、さっぱりわからないという人がおおいのではないでしょうか。
公募要領を読み続けていくと、事業の目的という項目があり次のような記載があります。
本補助金事業は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者等の地道な販路 開拓等の取組(例:新たな市場への参入に向けた売り方の工夫や新たな顧客層の獲得に向け た商品の改良・開発等)や、地道な販路開拓等と併せて行う業務効率化の取組を支援するた め、それに要する経費の一部を補助するものです
この補助金申請にあたっての大前提がわかります。この大前提から外れていると、この補助金の目的から外れているのではないか、との想像がつきます。
(地道な販路開拓を併せない、単なる業務効率化の取組は目的外との想像がつきます。)
さらに公募要領を読み下ると、審査の観点の記載があるのがわかります。
経営計画書・補助事業計画書について、以下の項目に基づき加点審査を行い、総合的な評価 が高いものから順に採択を行います。
①自社の経営状況分析の妥当性
◇自社の製品・サービスや自社の強みを適切に把握しているか。
②経営方針・目標と今後のプランの適切性
◇経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか。
◇経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか。
③補助事業計画の有効性
◇補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。
◇地道な販路開拓を目指すものとして、補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を 達成するために必要かつ有効なものか。
◇補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか。
◇補助事業計画には、ITを有効に活用する取り組みが見られるか。
④積算の透明・適切性
◇事業費の計上・積算が正確・明確で、事業実施に必要なものとなっているか、
ということは、以上の点が記載されていないと加点されず、総合的に高い評価が得られず、採択されないということになる訳です。
今回はここまでとして、次回は審査の観点を具体的に考えてみることにしましょう。